有機薄膜太陽電池のμ-ESCAによる深さ方向分析

イオン銃による深さ方向分析

μ-ESCAでイオン銃(Ar+スパッタ)を用いた深さ方向分析を実施することにより、層構造(存在元素、状態、定量、膜厚比較)を確認することが可能です。

  • 深さ方向定量分析結果1
  • 深さ方向定量分析結果2

    深さ方向定量分析結果

太陽電池として使用し続けた際、有機膜との界面でAlの酸化が進行すると特性劣化の要因となります。

μ-ESCAを用いると界面でのAlの酸化状態を確認することができます。下図は一定時間使用後の試料を分析した結果で、界面のAlが酸化していることが明確にわかります。

  • Al電極中(30nm付近)のAl状態分析結果

    Al電極中(30nm付近)のAl状態分析結果

  • Al電極/有機膜界面(60nm付近)のAl状態分析結果

    Al電極/有機膜界面(60nm付近)のAl状態分析結果

深さ138nm付近で定性分析を実施すると、CuPcの構成元素であるCu、C、Nが検出されました。μ-ESCAではH、He以外の元素の存在を確認することが可能です。

  • CuPc中(138nm付近)の定性分析結果

    CuPc中(138nm付近)の定性分析結果

斜め切削法による深さ方向分析

μ-ESCAは状態分析ができることが特徴ですが、有機物の場合、イオン銃照射による損傷が懸念されます。

イオン銃を用いないで深さ方向の状態を調査する手法として、精密な斜め切削機(SAICAS)を用いて表層を切削して状態分析を行う方法があります。

  • 斜め切削法

    斜め切削法

斜め切削法では、膜厚の100倍~1000倍以上に拡大した断面を作成することが可能であり、nm程度の厚さの膜でもμm程度に拡大した分析領域が得られ、低損傷での深さ方向分析が可能です。

  • 斜め切削後、CuPc膜中の状態分析結果1
  • 斜め切削後、CuPc膜中の状態分析結果2
  • 斜め切削後、CuPc膜中の状態分析結果3
  • 斜め切削後、CuPc膜中の状態分析結果4

    斜め切削後、CuPc膜中の状態分析結果

斜め切削法により、Ar+スパッタによるダメージを受けない本来の結合状態が得られます。

分析用照射X線径(10μmφ)で厚さ10nm程度の層(本調査CuPc層:44nm)の正確な状態分析が可能です。製作直後と一定時間使用後の試料を比較分析することで、これらの元素の状態変化と特性劣化の関係を調査することができます。

ご協力:独立行政法人 産業技術総合研究所(関西センター)

ユビキタスエネルギー研究部門 デバイス機能化技術グループ

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